ひしの実クリニック:ANK療法・概略と位置づけ
ひしの実クリニックはANK療法を行うために開設したクリニックです。このため保険診療は行っておりません。ANK療法の治療計画の立案から面談・相談、治療後経過相談まで行います。
・ANK療法とは、
進行がんやがん再発の根幹を成しているであろうと考えられている”がん幹細胞”に対して、現時点で有効な、そして唯一とも言える治療方法です。
*ANK療法は再生医療等安全性確保法に定められた第3種再生医療として、各地方厚生局に提供計画の届け出が受理された医療機関が行う自由診療です。
これから登場する特徴ある細胞をイメージするイラスト(漫画)にして表現してみました。
・NK細胞とは
NK細胞(Natural Killer cell)、聞きなれない名前の細胞かと思います。人の体には細胞の数を増やし・機能分化する時に、ちょっとすねた・正常に働いてくれない、どこかしら壊れた細胞が生まれます。このちょっとすねた細胞のことを”がん”細胞と呼んでいます。この”がん”細胞は毎日々たくさん生まれています。これらのちょっとすねて、不良化した細胞達を見つけて・壊して・再利用できるように分解してくれる細胞が居たのです。この細胞がNK細胞と言われている細胞達です。
NK細胞は自然免疫(innate immunity)グループの細胞で、特技はがん免疫です。ちなみに感染症に対しての免疫反応を得意とする感染免疫を担う主たる細胞達には樹状細胞(これも自然免疫系統)や獲得免疫(acqired immunity)グループのT細胞やB細胞達がいます。
・ANK療法における”がん幹細胞”
再発・転移が見られる進行がんでは例外なく、NK細胞は眠らされています。NK細胞の機能が低下した状態がある程度持続してしまった状態を、私たちは”がん”と呼んでいるとも言えます。NK細胞が眠らされ、機能が低下した状態が持続すると、がん細胞・がん幹細胞はその性質を悪化させて成長し、自分自身の体を破壊してしまいます。
ANK療法は、進行がんの患者さんから、眠らされているNK細胞を大量に採取し、体の外で培養します。培養ではNK細胞の活性を高めると同時にその数を増やします。活性とは、がんを判別する機能とがん細胞を破壊する機能で、これを高めた状態を高活性と呼んでいます。(高活性にするという意味は、眠らされていたNK細胞を体の外で培養し、目を目覚めさせることです。)高活性化されたNK細胞の数を増やして、6ないし12分割し冷凍保存します。冷凍保存された細胞は、治療日に合わせて融解(解凍)し、原則3日から4日おきに体へ戻します。
点滴後、必ず起きるのが発熱です。これは体内に戻された活性の高いNK細胞が大量の免疫刺激物質(インターフェロンをはじめとするサイトカインと呼ばれる免疫細胞間同士の信号物質)を放出する結果として現れるもので、それだけ免疫刺激作用が強いことを意味します。(ANK療法以外の免疫細胞療法では若干の微熱などを除き、免疫副反応がみられるものは見当たりません。)
・標準治療とANK療法 お互いを補完する治療構図
NK細胞は”がん細胞”も”がん幹細胞”も同様に攻撃します。裏を返せば、”がん細胞”と”がん幹細胞”を区別せず一様に攻撃するとも言えます。がん細胞が多過ぎると”がん幹細胞”の攻撃まで手が回らない状況にもなり得ます。このような環境から、理想的なANK療法の治療戦略としてはがん免疫が損傷を受け過ぎていない状況でリンパ球採取を行い、”がん細胞”を標準治療・手術・重粒子線等組み合わせて”がん細胞”全体を縮小・がん細胞数を減らし、”がん幹細胞”をANK療法で攻撃するという戦略が考えられます。
この活性の高いNK細胞を使って、進行がんを攻撃するというのがANK療法の鍵となります。当然人為的に進行がんを完治へ導くということが目標となる治療方法です。これから、このサイトでANK療法の詳細を見ていきます。
次はANK療法治療の流れを説明致します。こちらから
また標準的がん治療とANK療法の異なる点に関しては、こちらから
*ここでは”発がん”に関する説明や、ジェネティック・エピジェネティックな損傷・修復過程の問題には触れていません。NK細胞の役割を説明するため、がん免疫細胞としてのNK細胞に、焦点を当てています。